日本の中間管理職はギリギリの状態だ
なぜ、心が折れる職場になってしまうのか?(前編)
■ハラスメント対策にすり減る神経
今どきの中間管理職は、業務のことだけを考えていればいいわけではありません。
最近は、企業がセクハラやパワハラによるトラブルに敏感になっています。一般的に加害者になるケースが多い上司たちに対して、部下との接し方についてさまざまな指導や注意がなされています。
セクハラやパワハラがないよう注意するのは当然ですが、職場がハラスメントに対して過敏である傾向も否めないと思います。
たとえば、男性上司と女性部下が何気ない雑談をしていたときに、当人同士にセクハラとの認識はまったくなかったのに、それを聞いていた別の女性社員が「あの上司の言葉は不愉快だ」という理由で、社内の人権啓発室にメールで告発したという話すらあります。
このケースではセクハラはまったくの誤解でしたが、普通の会話すらハラスメントと疑われる状況に対し、「そこまで気をつけなければいけないのか?」という上司側の困惑はよく耳にします。
ハラスメントへの意識が過剰になり、「部下が嫌がることはすべてハラスメントだ」という極端な考え方が広まれば、ただでさえ心に余裕がない中間管理職をさらに追い詰めることになりかねません。「部下からハラスメントだと訴えられるのはごめんだ。部下と関わるのは控えよう」という心情も理解できなくもありません。
ここまで見てきたように、中間管理職は現場仕事とマネジャー業務をこなし、個人ノルマも達成しなければならないうえに、セクハラやパワハラにも神経を尖らせなければなりません。しかも、プレイングマネジャーとしてチームの業績に大きく貢献しているにもかかわらず、結果への責任だけ負わされて、仕事への十分な裁量が与えられているわけではありません。むしろ上からの無理難題や気まぐれ・思いつきに振り回されている──。
この状況を、今、中間管理職を務める40代半ば以降のみなさんが働き始めた頃は、想像もしなかったのではないでしょうか。
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